新潟スタジアム・ビッグスワン トラック改修工事 国際基準の陸上トラックへ

プロジェクト概要

平成24年度、新潟スタジアム(デンカビッグスワンスタジアム)のトラック改修工事が行われました。それまで供用されていた全天候型表層材を切削機で除去し、新たに9レーンの全天候型表層材の施工を行いました。本改修工事によって、トラック全体のリフレッシュと同時に、国際陸連の規格・ルールの変更にあわせレーン幅などを変更しました。これにより、新潟スタジアムのトラックは、国際競技大会の開催が可能な国際規格の陸上トラックへと生まれ変わりました。

国際規格への対応

本改修工事では、国際陸連の規格・ルールの変更にあわせ、レーン幅を1.25mから1.22mに変更し、国際規格に対応しました。
新潟スタジアムは国際陸上競技連盟(IAAF)が定める基準CLASS1に日本で最初に認定された、国際競技大会の開催が可能な陸上トラックとなりました。(2004年5月 CLASS1取得)

衝撃吸収性に優れたウレタン舗装

ウレタン系陸上トラックは、衝撃吸収性とすべり抵抗性に優れ、均一で安定した走路を実現します。スポーツ競技に打ち込む人のためのグラウンド環境を提供します。

工事概要

発注者 新潟県新潟地域振興局
工事名 平成24年度 新潟スタジアムトラック改修工事
名称 新潟県立鳥屋野潟公園新潟スタジアム(呼称:デンカビッグスワンスタジアム)
工事場所 新潟市中央区清五郎67番地12(新潟県スポーツ公園内)
施工者 福田道路株式会社 新潟支店
主な工種 「ウレタン舗装撤去・設置工(t=2mm)」 5,910m2 (9レーン)
「レーンマーク工(w=50mm)」 5,720m
施設概要 日本陸上競技連盟第1種公認、
国際陸上競技連盟(IAAF)のクラス1認証
収容人員:42,300人
トラック:400m × 9レーン フィールド:107m × 72m(天然芝)
現在「アルビレックス新潟(Jリーグ)」のホームスタジアム(2004年より)

施工方法

切削オーバーレイでトラックをリフレッシュ 陸上トラックの改修工事では、既設の表層部分のみを削り取り、新たに表層面を施工する、「切削オーバーレイ」が行われます。陸上トラックには高い精度が求められているため、工事と並行して入念な検査が行われます。トラックの精度は、競技の公平性とともに競技者の安全にも関わってくるもので、道路工事と同じく、競技用トラックの施工においても重要です。

工事の流れ

既存表面切削工

まず、既設のウレタン表層面を切削機により切削します。切削機のビットと呼ばれる部分には、65cmの幅に130枚の刃がついており、この部分が回転することによりウレタン表層面が切削されます。切削後は、基層表面の仕上げや清掃 ・洗浄が行われます。
切削作業は、定期的に切削厚を確認しながら進められます。切削完了後には臨時検査が行われます。

切削機による既設ウレタンの切削
切削前(写真左) と切削後(写真右)

ウレタン層(耐久層)塗布

新たに舗装するウレタン層を基層面に接着させるため、基層表面にプライマーを塗布 します。ウレタン樹脂はミキサーにより現場で混合され、特殊なレーキによって2.5mmの厚さで 均一に施工されます。気温が高いとウレタンの硬化が早まるため、作業は気温が下がってきた夕方から行われます。
施工作業は、定期的に施工厚を確認しながら進められます。施工完了後には臨時検査が行われます。

ウレタン樹脂の混合
ウレタン樹脂の施工

表面の仕上げ・レーンマーキング

ウレタン層に再度プライマーを塗布し、その上からエンボス材を吹き付けます。エンボスとは、表面に凸凹をつける手法として、陸上トラックに不可欠なものです。表面仕上げとしてトップコート工を施します。最後に、陸上トラックのレーンをマーキングします。この作業は、レーンの距離や角度を正確に測定しながら進められます。
レーンが引かれ、最終的な検査が終われば、新しい陸上トラックの完成です。

エンボス工散布
レーンマーキング

プロジェクトの意義

ドラマの舞台となるフィールドの創造 陸上競技場やサッカー場、その他あらゆるスポーツ競技のためのフィールドも、基層部分には一般の道路舗装技術が生かされています。道路舗装に求められるのは安全性、快適性、耐久性ですが、スポーツ競技用のフィールドに求められるのは、 運動の安全性、運動のしやすさ、公平性、耐久性です。そのため、スポーツ競技用のフィールドにはスポーツ専用に開発された表層材が用いられています。
競技用のフィールドは、選手たちが熱い戦いを繰り広げ、たくさんのドラマを生み出すための舞台です。選手たちが競技に集中でき、よりエキサイティングなドラマが生まれるように、環境に合わせた最適な舞台を用意し維持することが私たちの使命です。