八箇峠トンネル 情報化施工 「ICTを用いた1,750m、215日の挑戦」

プロジェクト概要

新潟県十日町市の国道253号八箇峠で行われたトンネル舗装工事です。同現場は完全週休2日実施支援モデル工事として、健全な現場環境の維持が配慮されました。また福田道路の道路施工技術を活用し、短工期ながら品質の高いコンクリート舗装を実現しています。
プロジェクトではトンネル全長2,840mのうち、十日町側区間の1,750mを施工しました。実働の工期215日で換算すれば、1日に施工する長さは約8.1m。同現場は完全週休2日で施工を行い、さらに新潟県十日町市は日本でも有数の豪雪地帯であることから、降雪前に現場作業を完成させる必要がありました。

工事概要

発注者 国土交通省 北陸地方整備局
工事名 国道253号 八箇峠トンネル舗装工事
路線名 国道253号
工事場所 新潟県十日町市八箇地内
主要工種 コンクリート舗装工15,798m2
情報化施工(上層路盤、中間層、Co舗装)
工期 平成27年12月11日~平成29年2月28日 446日間
施工者 福田道路株式会社 新潟本店

施工条件

工事概要説明書

施工方法

効率的工法と情報化が実現した短工期 工期や人員、環境など、性質の異なる複数の課題を同時に解決できるよう、福田道路では「スリップフォーム工法」と「ICT(情報通信技術)」を現場に取り入れました。コンクリート舗装の準備作業の大幅な省略化が図られる他、正確で効率的な施工が可能となり、同時に現場の環境も改善しています。

スリップフォーム工法

コンクリート版やコンクリート構造物などを連続的に打設する、型枠が不要なコンクリート舗装工法です。スリップフォームペーバ・スーパーチャージャーという福田道路オリジナルの専用機械2台を用い、コンクリートの供給、敷きならし、締固め、成型、表面仕上げなどを一括で行います。施工能力の増大、作業環境の改善、省力化、供用車線の確保など多くのメリットがあり、工期の短縮に貢献します。特に今回の八箇峠トンネル舗装においては、効果的に活用されました。

情報化施工・3D-MC技術(ICT)

施工管理データを搭載したトータルステーション(TS)を用い、コンクリート舗装機の走行位置を計測するとともに、舗装仕上り面となるブレード下端座標を計算し、施工管理データとのずれ量が基準値内に収まるよう舗装機の姿勢を自動制御します。また、ワンマン計測で舗装直後の高さ管理を行い、舗装機やコンクリートの特性等による個体差の有無を確認しながら、必要に応じて高さ管理データをオフセットさせることが可能です。高齢化等で熟練オペレーターが不足しつつある状況で、このような自動化技術は非常に効果的です。また、スリップフォーム工法と情報化施工の併用は、北陸地方整備局管内で初めて施工を行った現場でありました。

IRIへの対応

本工事では、コンクリート舗装の仕上りについて平坦性試験だけでなくIRIを用いて路面性状の確認を行いました。

左車線IRI 1.14mm/m
右車線IRI 1.06mm/m

評価として、コンクリート舗装のIRI測定結果は「滑走路及び超高速道路」となり、高速道路と同等な路面性状と判断できました。
※IRI:乗り心地評価の国際規格であり、国際ラフネス指数を表します。IRIは舗装点検要領に記載されている点検項目のひとつであり、路面の凹凸程度を表す統計値です。数値が大きい方が大きくサスペンションが動くことを示し、平たん性が悪く乗り心地が悪いことを表すことにもなります。

舗装見学会について

本工事のコンクリート舗装施工時に地元の高校・高等専門学校・近隣官公庁職員の見学会を随時行い、累計で約250人の見学者が訪れました。学生は日頃触れる事の出来ない工事現場の雰囲気や初めて見る大型の建設機械を見て、抱いていた建設現場のイメージとは違い、「作業環境が良い」、「安全に作業を行なえている」、「仕事をしている人たちをみてカッコいいと思った」などの意見が聞かれ、建設業のイメージアップにも繋がりました。

プロジェクトの意義

南魚沼・十日町地域に安心と便利を 八箇峠道路の整備により一般国道253号の通行規制区間や交通の難所である「八箇峠」の交通障害を解消すると共に、十日町生活圏・南魚沼生活圏の促進・一体的な圏域形成が期待されます。また、急患や災害などの緊急時の活用も想定されています。地域の方の長年の期待を実現することができ、現場に携わった多くの作業員がその意義を実感しています。
また、土日休みの現場モデルケースとして良好な作業環境を維持し、見学会にて多くの方に現場を見ていただけたことでも、道路事業のイメージ向上に大きく貢献できました。

開通予定:平成29年度 八箇IC(仮称)~野田IC(仮称)

現場の声

「週休二日制の導入で生活が充実」
この工事は、国土交通省から週休二日制のモデル工事として選定されていました。実際に仕事をしてきて感じたことは、しっかりと週末の予定を立てて休めることで、充実した休みを過ごすことができたことです。今後は、このような工事が増えていき、どの工事現場でも週休二日が全国的浸透していくことを期待しています。
また、勤務地に不安がある人もいると思います。私も最初は慣れ親しんだ地元から離れることが嫌だと思いましたが、転勤先でのおいしい食べ物やお酒を楽しんだり、文化に触れたりすることで、そこでしかできない貴重な経験を重ねることができます。人間として大きく成長することができると思います。

現場担当 遠藤